Paris, France

Mural

西アフリカを北上して、モロッコからジブラルタル海峡を渡ってスペインに入るなんてのは魅力的なコースだったが、西アフリカに食傷気味だった私は飛行機に乗ってパリのシャルル・ド・ゴール空港へ降り立った。

クロアチアの港町であったセバスチャンとは、その後もメールでやりとりをしていて、パリに来ることがあれば連絡をと言ってくれていたので、遠慮をしながら連絡をさせてもらった。ひとり暮らしをしているものと勝手に思い込んでいたが、両親と一緒に済んでいるということで、かなり恐縮することにはなったが、ここも旅の恥はかきすてということで、図々しくもしばらくお世話になってしまった。

パリはグラフィティが飽和していた。街なかに立つ彫刻の顔面に下品なまさに落書きをしていたり。そんな状態になるくらいだから、ちゃんとスプレー缶屋さんがあって、皆が色やブランド、スプレーのノズルの太いのや細いのを指定して買っていく。ただただかっこよかった。

この絵は、セバスチャンと一緒にスプレーをたくさん買い込み、パリ郊外の空き家に忍び込んでスプレーがなくなるまで落書きをしたものの1枚。ほとんど雪が降ってもおかしくないような寒い日で、ガクガク震えて、スプレーの重さが手に効いてきて、最後はノズルが押せなくなった。